雨にそぼ降られ 島内一周
今日はジョエルも休みで、「車で島巡りしよう。ナイスビーチもあるからゴーグルやら足ヒレももってきたよ。ビールも氷つめて用意した!」とかなり楽しそうな雰囲気。
雨降ってるけどね
雲が途切れ途切れ町を覆って通り雨に降られる、という熱帯性気候の土地にありがちないわゆるスコール。
には全く見えないけどね
大体いつもこう。自分が天気に対して晴れを望むと、大体こうなる。洗濯物を干しにベランダにでてもパラつく。
はるばる日本からマリンドゥケくんだりまでやってきた僕を哀れんでか、ジョエルの友達のボイェットも一緒にきてくれた。
いざ出発。ザーーーーーーー
降ってるね。とっても。
ぐるりと東周りに走っているらしく、比較的舗装されたきれいな道を、海沿いから山へ入ってゆく。昨日ジョエル達がバスケで戦った相手の町、ブエナビスタを通過する頃には、小雨になり、やがて止んだ。それだけで嬉しい。
2時間程走ったところで、ポイットだかポイコットだか、という名のビーチに到着。砂浜が広がっている。水着に着替え、ビールで乾杯をし、海へ。
ザッブーーーーん?
浅。
遠浅もよいところの遠浅。なんだか悲しくなり、ここで足ヒレなどつけた日には、いたたまれなくなってしまいそうなので、水遊び程度にとどめて陸へ上がった。風もあり少し肌寒い。
しばらくビーチでまったりと過ごし、「じゃあ、いきますか」と車へ。また山道をぐんぐん走る。車の揺れとビールの酔いでばっくり眠りこけてしもうた。
起きると、サンタクルスという町へ到着していた。ここで飯を食らうとのこと。ちょっと太めのうどんのような麺が入ったスープをいただく。卵スープにうどん突っ込んだ感覚。美味い。病床に伏しているときなどによさそうだ。
「あそこでインターネットしてる子、男か女か分かる?」見た目完全に女なのにそう聞いてくるってことは男なんだろう。「正解です」タイもそうだが、フィリピンにもニューハーフは多い。
シンガポールより大きいとは言えど、小さな島なので、隣町へ行っても、その隣町へ行ってもどこかしらで親戚ないし友達に出会うらしく、あちこちで挨拶を交わしていた。
そして毎月毎週、どこかの町でフィエスタ(お祭り)が催されていて、そのフィエスタの日にその町へ行くと、どこへ行っても、どの家へ侵入しても、タダでご飯が食べられるそうだ。
なんとも楽しそうなフィエスタ。ホームレスの方々はみんなフィリピンに来た方がいいんじゃないか。
そうやってご近所さんと同じ釜の飯を分け合い、親交を深めるなんて行事、もう東京ではほとんど見られないのだろうか。
夕方頃にガサンへ帰り着き、ちょっと仕事ができたジョエルと別れ、屋台で焼き鳥を買い海沿いの公園へと歩く。
夕焼けだ。
島巡りも佳境、をこえてとっくに終わったこのタイミングで、晴れ間をのぞかせるお前って一体誰だ。
夜はまたジョエルのレストランでグリルチキンをいただき、ジョエルがどこからともなく仕入れきた卵を食べた。
開けると孵化したアヒルが入っていた。
うぎゃああ。
中国では何度も見かけていたが、まだ食べたことのなかった孵化した卵。せっかくなので、いっただっきまーす。
モム。
うん、別に美味くはない。が、これで孵化した卵がどういった食感でどういった味かを説明することができるようになった。
「何事も試してみなけりゃ分からない。試す前から決めつけたり、どうしてできる?そんなのろくなもんじゃない」とシリアで出会ったレバノン人の密輸密造おじさんが言っていたのを、ふと思い出した夜だった。